理科教諭なべやんの「学内探訪」

連載!理科教諭なべやんの「学内探訪」

 2016年5月より、本校理科教諭の田邉利幸が綴った「学内探訪」コラムを連載していきます。(毎月1日、15日)キャンパス内の名所や豊かな自然環境をご紹介していきます。
 第1回(5/16月)は、『三寸勾配』を掲載します。

<掲載に際して>
 豊かな3年間の生活の場所を「学校環境」の視点から振り返ってみた時、四季折々にさまざまに変化する比叡山や北山、西に流れる岩倉川の自然景観や、季節の移ろいを感じて変化するさまざまな動植物とともに、香山建築研究所の設計と建造物、空間構成、そこに組み込まれた芸術作品にも注目したいと感じました。そこで過ごす子どもたちが快適に生活できることを原点に据え、校地の空間や構造物のデザイン、校舎間や空き地への動きを科学する「動線の科学」、教科教室内の機能性や教科MSの空間構成など、本校に関わるデザイン的要素のすべてが「芸術作品」であり、また、「建築工学の最先端の現場」でもあるように思うのです。いわば、日々子どもたちは、自然・芸術・環境・人間・工学の視点から創造された作品群の中で学校生活を送っていると言っても過言ではないと思います。
 ある時、何気なく校内を歩いていると、自然物や構造物の方から次から次にメッセ−ジが伝わってきました。今回そのメッセ−ジに促されて、「学内探訪」と題する連載を記していきます。雑駁な文章で不足を感じる点は多々ありますが、ご一読くださると幸いです。
田邉利幸

  • ホワイトクリスマスとグリ−ンクリスマス〜英語MSのクリスマス〜

    2017/12/15 NEW

    ホワイトクリスマスとグリ−ンクリスマス1

     京都の繁華街ではクリスマスにむけて、華やかな デザインや賑やかな音楽が目立ってきました。
     本校立志館3階の「英語MS(メディアスペ−ス)」でもクリスマスの雰囲気が満載です。ツリ−が登場し、近くの机には、英語で書かれたクリスマス絵本が展示され、先日はそれを静かに見つめる生徒がいました。もう頭の中はクリスマスなのでしょう。
     ところで、地球は自転軸が23.4度、公転面の法線に対して傾いていることで、北半球と南半球では季節が逆転します。12月は北半球の「ホワイトクリスマス」に対して、南半球では「グリ−ンクリスマス」です。つまり樹木には緑いっぱいの時季のクリスマスということです。ニュ−ジ−ランドにも「ニュ−ジ−ランドのクリスマスツリ−」と呼ばれる木があります。マオリ語で「ポフツカワ(Pohutukawa)」と呼ばれる木です。12月の姿は緑の葉に深紅の花が見事で、どこかポインセチアの赤色と似ています。
     さて、右下の交通標識も英語MSの掲示物です。
     その他にも多くの英語で書かれた書籍や雑誌類も展示され、いつでも自由に触れることができます。昼休みは、お弁当を食べる生徒でいっぱいで、とても賑やかな空間ですが、少し心を落ち着かせたい時には、この異空間で目を閉じ、落ち着いた気持ちで、現在の“南半球の自然や環境、文化”を想像することも楽しいひとときになるのではないでしょうか。

     本校にはこんな“非日常”の空間がまるで“日常”であるような場所が、学内あちこちに散らばっているのです。

    ホワイトクリスマスとグリ−ンクリスマス2

     All around Kyoto we can see Christmas decorations. You can also find Christmas decorations in the English Media Space on the 3rd floor of the Risshikan Building, as well as many Christmas books.
     While the Northern Hemisphere has a “White Christmas” in December, the Southern Hemisphere has a “Green Christmas”. In New Zealand there is a tree that is called a “Pohutukawa”, which blooms with bright red flowers in December, so it is also called a “New Zealand Christmas Tree”. If you have time to spend, the English Media Space is a place where you can be surrounded by English in many different forms, and where you can experience another culture. Such places, where the not so normal becomes normal, are scattered around the school.

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  • 紅葉と黄葉〜秋の岩倉キャンパス〜

    2017/12/01 

    紅葉と黄葉

     近年、四季の中で「春」と「秋」の時季が短くなったように感じます。せっかく秋が始まってもすぐ冷え込みが厳しくなり、短期間で紅葉、落葉し「冬」を迎える…。そんな中でも本校生や同志社小学校の生徒・児童のみなさんは、短い「秋」をしっかり楽しんでいます。先日、小学校低学年の児童が朱色と橙色が微妙に入り混じった葉を少し見つめたあと、宝物を得たように大事そうに持ち帰っていました。きっと家族へのおみやげだったのではないでしょうか。
     さて、「こうよう」には「紅葉」と「黄葉」があります。理科的にみると、落葉樹にみられる冬に備えた営みが葉に現れた現象ですが、その葉に含まれる色素の違いで、「紅葉」と「黄葉」が生まれます。岩倉キャンパスでも「紅葉」にはトウカエデ、ナンキンハゼ、ヤマボウシ、「黄葉」にはイチョウ、カリンが目立ちます。一方ケヤキ、エノキ、ムクノキなどは渋い茶色です。もともとの緑色はクロロフィル(葉緑素)が原因ですが、これが分解し、アントシアニン(赤)とカロチノイド(黄)が目立ち始めると、その樹木の葉特有の色の変化が始まります。
     少し前、同志社小のみなさんは、黄金色に彩られた屋根の下を通って登校していました(写真下)。
     岩倉の四季の微妙な変化を日々感じながら、自然からのメッセ−ジと共感する感性を育くんでいって欲しいです。

     In recent years, it feels like spring and autumn are getting shorter. Nowadays, just as autumn starts, it soon gets cold, but the students on our campus get to enjoy this season.
     Just he other day I saw an elementary school student pick up a leave that had changed color a little to take home as a present.
     Within these leaves, there are those that change to yellow and those that change to red. This depends on the type of tree and the chlorophyll in the leaves. As it gets colder, the chlorophyll that makes the leaf green breaks down to become either anthocyanin (red) or carotenoid(yellow).
     Recently, as you can see in the photos, many students walked to school under a canopy of yellow.
     We can feel the changes in nature every day in Iwakura.

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  • 乱舞する赤紫の蝶〜秋の七草 ハギ満開〜

    2017/11/15 

    乱舞する赤紫の蝶

     秋のある日、想遠館から立志館へ歩を進めていた時、 正面の窓ガラスが紫色に染まっていて目を奪われました。まるで、黒フレ−ムの1枚の写真のようでした(右)。実は、ハギ(ヤマハギ)の花が立志館の北側で見事に咲き誇っていたのです。

     今号の表題は「乱舞する赤紫の蝶」ですが、実は実際の蝶ではなく、”蝶形花”といわれるハギの花のことです。マメ科の花は、上にそそり立つ花びらの「旗弁」が目立ち、横に広がる小さな「翼弁」、雄しべと雌しべを包む「舟弁(竜骨弁)」から成り、その形状から「蝶」に例えられます。密を求めて昆虫がやってきた時には、この花弁の絶妙な仕組みで、花粉を昆虫の体に付けたりもらったりします。
     さて、『秋の七草』の花の色は「クズ」(紫)「ハギ」(紫)、「キキョウ」(紫)「ナデシコ」(桃)「フジバカマ」(薄紫)「オバナ」(薄茶)「オミナエシ」(黄)と、同志社になじみの紫が多く落着きを感じます。そして『春の七草』のように、粥にして食べることもせず視覚で愛でるのみです。

     この紫色の多い季節、じっくりと身の回りの自然の特徴や変化を観察してみるのも、感性を鍛えるのにいい時季です。特に秋の花は、冬の季節を前にしてどの花も味わい深い咲き方をしています。みなさんの気に入った秋の花がみつかれば、是非伝えに来てください。
     ハギの花言葉は「柔軟な精神」と言われます。
     確かに、枝垂れる枝を見つめているとやんわりと心が安らぐように思います。

     One day in autumn, as I walked the hallways of the Risshikan building, I was able to see what looked like a framed photo of the bush clover flowers blooming along the northern fence. It is said that these flowers resemble butterfies. If you look closely at the flower, you can see that the parts make it look like a butterfly, which helps it spread pollen, using the insects that settle on the flowers. During this season there are a number of plants with purple flowers, a color that has an association with Doshisha, and it is said that these flowers make us feel relaxed.

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  • 地球木材を学ぶ〜廊下に広がる学びのスイッチ(技術MS)〜

    2017/11/01 

    地球木材を学ぶ1

     本校の特徴とする「教科センタ−」方式 を採用している中学校は現在のところ近畿圏で唯一です。そしてこの空間に「木材を五感で学ぶ」仕掛けがあるのが「技術MS」です。
     想遠館を東入口から入ると、右壁面の「ようこそ同志社中学校」のメッセ−ジで迎えられます。左側に目を移すとそこは ”秘密基地” のような雰囲気が漂う空間となっています。
     どんと構えた旋盤の傍らには、「PCの歴史をたどる」機器が並び、「STEMへの誘い」「デザイン・シンキング」に関わるメッセ−ジや卒業生作品「わらじ作りました」などの展示もあり視覚的にどんどん刺激を受けます。

    地球木材を学ぶ2

     そしてさらに引き寄せられるのが、その左側にある木材スペ−スです。ここには、「地球木材」への興味のスイッチが満載で、似て非なる”木”の違いが五感で体験できるのです。

     スギ、ヒノキ、キリからアマゾンジャラ、ゲッケイジュ、コクタンなどの木が短冊状にならび、生徒がバチをもって打ち鳴らしてくれるのを今か今かと待っています。幅広の形状で待つのが、ニレ、オニグルミ、ハンノキです。木材の種類、厚さ、空隙率、形状で鳴る音も微妙に異なります。一度自分でたたき、自分の耳で音色を聴いてみましょう。そばには「香り」「重さ」を楽しむ仕掛けもあります。
     手前の円形のもの(写真下部)は、風間浦中からいただいたヒバのチップで、実は椅子なのです。
     是非ここに座って本州最北端の海と山の情景を思い浮かべながら、多様な「地球木材」と全身で感じて下さい。

     Our school is one of the only schools in the Kinki area that has incorporated a system where each subject has its own area. When you enter the Souenkan Building, you can see many items on display in the Technical Arts Department.
     On the left, you can find old computers and machinery, with explanations about designing. On the right, you can also see many projects made by students over the years. A very special part of the display is a collection of different types of wood that you can touch, smell and hit with a drumstick to hear the various sounds they make. There is even a chair that was made with woodchips from our sister school Kazamaura in Aomori Prefecture.

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  • 風間浦中との交流の軌跡〜風中コーナー〜

    2017/10/13 

    風間浦中との交流の軌跡

     今年は10月26日に来校される風間浦中学校と本校との交流も早25年目となりました。
     創立者新島が「快風丸」に乗船し函館に向かう途中、風向きと潮流の影響で立ち寄ったのが風間浦村でした(1864年4月19日)。それから128年後の1992年に「新島襄寄港記念碑」が建立され、その後毎年、風間浦中学校の2年生と本校生との交流が継続しています。ある年チャペルで披露された「ソウラン節」からは、本州最北端の自然の姿とその自然を土台にした生命の息吹を感じることができました。

     さて、本校想遠館3階には、2012年の交流20周年を迎えた時に設置した『風間浦記念Room』があります。ここには、これまでの交流で交換された記念品や当時の交流会で展示されたものや写真などがコ−ナ−いっぱいに飾られています。創立者が結んでくれたこの交流はこれからも長きにわたり継続したいものです。
     風間浦中の生徒が本校生との交流後に記した感想文が目に留まりました。味わい深い一文です。

    「自分たちの考えで自分たちの力で学園祭を作り上げるという、同中生の行動力、積極性、団結力に驚かされた。この経験を活かせれば風中はもっと前進できるのではないか。」

    「自由ってうらやましいと思った。でも楽ではないと思った。」

     Each year many staff and students come from Kazamaura Junior High School in Aomori Prefecture to visit our school. This program has been continued for 25 years. In 1864, our founder Joe Nijima spent some time in Kazamaura before continuing to Hakodate. On the 3rd floor of the Souenkan Building there is a special room with memorabilia and photos from the exchange.
     Included in these memorabilia there is a list of the impressions Kazamaura students have of Doshisha Junior High School, which is quite interesting.
     We hope that the relationship between the two schools continues forever.

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  • 広い葉の針葉樹〜恋つナギの木〜

    2017/09/29 

    広い葉の針葉樹

     北校地エリアには83種もの木本が確認されています(2011.3同志社高校生物部調査)。調査後に植樹したものや種子が飛来し生育したものもありますので、現在はもっと樹種が増えているでしょう。
     さて、「針葉樹」と言えば、マツ、スギ、ヒノキの名が浮かびますが、実は右の植物も針葉樹の仲間です。名前は「ナギ」といいます。ナギの純林で有名なのは奈良の春日大社のもので、約1000年前に植えられたと言われ「天然記念物」にもなっています。
     ところで、樹木はよく「針葉樹」と「広葉樹」に分けられ、針葉樹から広葉樹に進化したと考えられています。針葉樹の葉は「針」の漢字から、マツのような針状の葉が思い浮かびますが、針葉樹の英名はconifer。「マツボックリのようなcone状の果実を付ける植物」が語源のようで、実は葉の形状はいろいろなのです。ヒノキの葉もよく観察すると、小さな”うろこ状”の葉が重なり合って、平たく長い葉を作っています。そのうろこの葉のひとつひとつが1枚の葉と考えられています。

     またナギには「恋つナギ」という言い方もあり、神社ではご神木になり、”縁結び” などのご利益があるとして、雌雄植えられたりします。学内のナギの木(恋来る木)はいったいどこにあるのでしょうか。見事に見つけたら、葉を1枚揉んで香りをかいでみて下さい。熟す前の甘いトマトのような香りが漂ってきます。

     It is thought that there are at least 83 different types of plants on our campus, and the number is increasing. When people think of conifers, they usually think of pines and firs, but the plant in the photos is also a conifer. It is a Nageia nagi or Asian Bayberry, which is protected species in Japan.
     It is often said that a conifer usually has needles, like a pine tree, but the name ”conifer” comes from the word “cone”.
     It is also said that it is a tree that joins people in love, so you’ll be lucky in love if you find one.

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  • 地底からの贈りもの〜ゼノリス〜

    2017/09/15 

    地底からの贈りもの

     学内には地質学的におもしろい場所があります。
     右の石のベンチは、実は今出川校地に中学校があった時からのベンチです。移転に伴い岩倉まで運んできました。まるで”羊羹”のような形ですが、学内にはこのような形の石があと4つあります。さて、どこにあるでしょうか。これらの石の中には、今出川時代の古い立志館(木造)の階段として使われた石もあります。そう言えば、今出川の彰栄館周辺にあった花崗岩の敷石は、元市電の軌道の石だったと聞いたこともあります。

     では、写真のベンチの石を地質の視点で紹介してみましょう。このベンチの岩石は「花崗岩」の仲間なので、昔、地下深くでマグマがゆっくりと固結したものです。ところが下の写真にあるように一部が黒味がかっています。このような部分を「ゼノリス(捕獲岩)」といいます。下鴨神社にはこの形状が「ひよこ」のような形のものもあります。このゼノリスは、マグマが地下深くから地上にむけて上昇する途中で、周囲の岩石の一部をとりこんだものなのです。時には、ルビ−やサファイヤなどの宝石を含むこともあります。さて、このベンチのゼノリスには宝石が含まれているのでしょうか。見かけ上は単なる石のベンチですが、実は壮大な地球史のドラマを秘めているのです。

     日常生活で何かうまく行かないとき、壁にぶち当たって解決策が浮かばないとき…そんな時はこの ”地球の壮大なロマンを語るベンチ” に座って発想を思いっきり転換してみて下さい。

     The bench in the photo was brought from Imadegawa when we moved to Iwakura.
     There are actually 4 large stone slabs like this on the campus. These slabs were used as part on the stairwells in Imadegawa. The stone in the photo is a type of granite that was slowly formed from hardened magma. You can see a darkened part of the stone, which is called a xenolith. Xenolith sometimes contain precious stones, like a ruby or sapphire, but I wonder if there are any Precious stones hiding in one of the benches we have on our campus. Maybe, we’ll never know.

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  • 芝生地の生のドラマ〜植物の執念〜

    2017/09/01 

    芝生地の生のドラマ1

     校地にも人工芝の場所が増える中、天然芝のエリアでは植物どうしの熾烈な生き残り競争のドラマが日々展開されています。
     芝生からすれば、他の植物の侵入は”招かれざる客”ですが、侵入するほうからすれば、”別天地への進出”です。そして所構わず侵入するものもいれば、芝生の繁茂が弱く少し湿っぽい所を狙ってやって来るものもいます。後者の代表的なものはオオバコ(オオバコ科)です。「車前草」とも言われ、昔は牛車などの通り道にも多く観られたのでしょう。

    芝生地の生のドラマ2

     シロツメクサは、クロ−バ−という別名の方が有名かも知れません。昔4枚の小葉を探した人もいるでしょう。漢字では「白詰草」で、もともとオランダからガラス製品を運ぶときに詰めた緩衝材としてこの草を利用したと言われています。実は、この植物が芝生地に侵入すると厄介です。マメ科のため根に根粒菌をもち共生して生活しています。そして茎が横に這うため、上部を刈っても根・茎は残り、さらに勢力を増してきます。芝生地の整備は大変ですが、継続的に対処する以外はありません。
     
     この9月という時期、3年生はこの植物の熾烈なドラマが繰り広げられている芝生地の上で、学園祭や輝舞祭本番に向けての「青春ドラマ」を展開します。こちらのドラマは感動あり、涙あり、そして確かな成長ありです。そんな中学生の姿を足下の植物たちは、踏まれながらもきっと心から応援してくれていることでしょう。

     While there are many parts of the school that have become artificial grass,a large number of places are covered with natural grass, where dramatic battles go on between the various plants. The patches of grass may see this as an invasion. One plant that likes to invade on the grassy areas is the Plantain, which can also often be found on the side of roads. Another is the Clover, which many people believe is lucky if found with four leaves, The clover plant puts bacteria on the roots of legumes around it and slowly takes them over.

     It’s as if, as the students prepare their own dramas for the school festival, the grass below them is staging its own dramas.

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  • 今日の月は何の月!?〜国語MSの宇宙〜

    2017/08/15 

    時を告げる花!?

     私たちの住む地球には、たったひとつの「月」という衛星があります。火星の衛星は2個、木星、土星に至っては60個はあります。地球にとって唯一の月だからこそ、古人よりさまざまな呼び名で親しまれてきました。人工的な光がない時代、夜を見上げた先にはさまざまな形状の月が圧倒的な光度で輝いていたことでしょう。
     満ち欠けによる呼び名では、新月・朔→三日月→上弦の月→九日月→十三の月→小望月→望月・満月・望→十六夜の月→立待月→居待月→寝待月→下弦の月→二六夜の月と続き、新月に戻ります。興味深いのは「立待月」からの人の姿勢の変化です。満月の翌々日は、そろそろ月が出るかと外に出て立って待っていたので「立待月」、さらに十八日の月は月の出が遅くなり、家の中に居て待っていたので「居待月」、そして十九日はさらに月の出が遅れて、寝て待っていたので「寝待月」と人を待つ”待ち人”の姿は床(就寝)に向かいます。
     立志館2階の「国語MS」では、この月の変化の様子がとてもわかりやすく表現されています。是非この展示の前で、平安時代の都人の独特の感性に共感してみてください。

    *********************
    【展示作品への想い】
     夜の明かりがほとんどない時代、人々は夜空の世界にさまざまな想像力をかきたてられました。
     日本の古典作品を見ていくと夜空、特に月への思いを読み取ることができます。例えば、昔話の「かぐや姫」が描かれた作品として有名な『竹取物語』では、かぐや姫はある罪を犯して月の世界から地上へと堕とされ、最後には月からの使者に連れられて月へと帰って行きます。かぐや姫が月に帰った八月十五日の月は「中秋の名月」と呼ばれる満月で月が最も美しく見える日です。また、『竹取物語』が成立した時代、月を直接見ることは不吉なこととされていて、池の水面や杯に映して美しい月を鑑賞し歌などに残していました。
     月には昔の人のロマンがたくさんつまっています。だからこそ、月をさまざまな名前で呼んでいたのです。そのような感性を少しでも感じてほしい、そして少し立ち止まって「今日の月は何の月かな?」と夜空を眺めてほしい、そんな気持ちでこの展示を作成しました。(国語科 植田彩郁)

     The Earth that we live on has only one moon, while other planets have many moons. In the past, before manmade lights, the moon was used as a way of lighting at night. Each phase of the moon was given a name according to its shape and number of days past or before a "New Moon". These names often came from the amount of light that was reflecting off the Moon or the time at night that it appeared.
     In the Japanese Department's Media Space we can find a display that explains these names. Ms. Ueda from the Japanese Department helped to make this display. She explains that these names for the different phases of the moon can often be found in old Japanese literature and poetry.
     The Moon was seen as "romantic symbol" as well as a way of expressing the passing of time in a story. Please take a look at this display and learn about literature in the Heian Period.

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  • 時を告げる花!?〜トケイソウの造形美〜

    2017/08/01 

    時を告げる花!?

     登校する本校生はいろいろな花々から迎えられます。6月ぐらいに迎える花はトケイソウ(右写真)です。特に自転車通学をしているみなさんは、この花から大歓迎を受けます。10月ぐらいまで、自転車置き場のフェンスで見事な花を咲かせているのです。
     この花は正面から観ても、斜めから観ても、その圧倒的な造形美でこちらの心が思わず誘惑されるような花です。
     めしべの先端が三裂し「長針、短針、秒針」のように見えます。下の写真は「11時20分40秒」でしょうか。私たちが利用する時計には、1分ごとの刻みのマ−クが計60個ついたりしています。でもこの花では110本もの青い刻みが広がり、時計の装飾的要素がさらに強調されています。
     原産地は南・中央アメリカのため熱さに強く、各地の住宅の日当たりのよいフェンス沿いで繁茂しているのをよく見かけます。

     ところで、英名 passion flower は「キリストの受難の花」の意味があるようです。この花の子房柱は十字架、3つに分裂した雌しべが釘、副冠は茨の冠、5枚の花弁と萼は合わせて10人の使徒、巻きひげはムチ、葉は槍であると言われています。果実で有名なパッションフルーツは、クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)という別の植物の果実です。また、パッションフラワーはハーブの一種として、鎮痛・精神安定・不眠の緩和など「精神や痛みを静める」働きがあるともいわれています。

     観る角度で針が変化する不思議な花。
     みなさんは何時何分何秒と読み取りますか?

     When you came to school in June, you probably saw many Passion flowers blooming, especially on the fence of the bicycle stands. The flower has three branched pistils that look like the hands of a clock signaling the hours, minutes and seconds. The name of the flower, “Passion flower”, is related to the “suffering of Christ”, and it is said that different parts of the flower represent things like the cross, nails and the disciples.
     What time do you think the flowers in the photos are showing?
     Is it 11:20 and 40 seconds?

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  • 借景としての比叡山〜圓通寺と本校〜

    2017/07/15 

    借景としての比叡山

     本校からほぼ西に1.5kmのところに臨済宗妙心寺派「圓通寺」というお寺があります。お寺からいただいた資料には「大悲山勅願所 御幸御殿 圓通寺」、「庭園は霊峰比叡山を借景にした枯山水で、国の名勝に指定されている。四季折々の風情があじわえ、後水尾院の幡枝離宮の庭をそのまま今に伝えている。」と記されています。後水尾天皇が最も比叡山の眺望に優れた場所を探し求めてこの地に山荘を築いたのが起源のようです。
     右上の写真は圓通寺のお庭から観た比叡山です。右下は、本校のキャンパスから観る比叡山です。このように並べてみると山の形状はほぼ同じです。この形の比叡山を、いにしえの昔より数多くの人々が“景観の粋”として仰ぎ見てきました。
     本校に通う私たちは、日々この姿の比叡山を仰ぎ見ながら、日常生活を送るという、とてもとても贅沢な環境で生活していることになります。

     ところで比叡山そのものは、今から7800万年前に活動したマグマの熱で熱変成作用を受けたホルンフェルスという変成岩でできています。火山ではないので、今後噴火することはあり得ません。ならば、固く緻密な岩石でできているこの山の形状も、急に変化することはあり得ないでしょう。
     キャンパスから東方を眺めたときのこの比叡山が、みなさんの青春の原風景(印象風景)のひとつとして残るのであればそれ以上の喜びはありません。

     Entsu-ji Temple, which can be found about 1.5km from our campus, is said to have one of the best Views of Mt. Hiei. If you look at the two photos, you can see that the view from our campus is very similar. The fact that our students can enjoy this view every day shows that we are very lucky to be able to study in such an environment.
     About 78 million years ago, Mt. Hiei was formed from the heat of hot magma. It is not a volcano, so it won’t erupt in the future, nor will it change shape. This means that it will always remain a memory in the background of each student’s life.

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  • 葉を突き抜ける花〜ツキヌキニンドウ〜

    2017/07/01 

    葉を突き抜ける花

     今、おもしろい植物が花を咲かせています。葉の中心から花が突き出ているので、何となく違和感をもちます。植物名はツキヌキニンドウ。漢字では「突抜忍冬」と書きます。北米原産のツル性低木で、写真のように鮮やかな朱色の見事な花です。「突抜」はまるで葉を突き抜けている花の様子から、また「忍冬(ニンドウ)」は、スイカズラとも読み、この植物が冬でも落葉せず耐え忍ぶところからきています。
     さて、”葉を花が突き抜ける”と説明しましたが、実はこの葉は2枚なのです。同じ箇所から葉が出る対生(たいせい)という特徴をもつのですが、葉の基部が完全にくっついているため、まるで1枚の葉の中心から突き出ているように見えるのです。

     さて、この花は学内の少し意外なところで花を咲かせています。写真のバックは立志舘です。一体どこで咲いているのでしょうか (そばではクレマチスも咲いています)。この花の『花言葉』は、「愛の絆」「献身的な愛」「真実の愛」と”愛づくし”です。是非この花を発見して、この花から届けられるたっぷりの愛で、少しの間でも幸せな気分に浸ってみましょう。

     We can find many interesting flowers on our campus. One of these is the “Trumpet Honeysuckle”,which has a Japanese name that means to “pierce through secretly in winter”. The name comes from the fact that they are evergreen and do not lose their leaves even in winter.
     Also, when the flowers bloom, they seem to be piercing through the leaves, although the flower is actually attached to the leaf and is a second part of it.
     Please try to find these flowers when you come to our campus.

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  • 喜怒哀楽をカタチにする〜美術MS〜

    2017/06/15 

    喜怒哀楽をカタチにする1

     想遠館には不思議な空間があります。
     階段を上がり2階に行くと、天井から吊るされたユニ−クな作品群が目に留まります。これは2年前の中学2年生が製作した造形物です(主題:宙に浮かぶ喜怒哀楽のカタチ)。厚紙とカラフルなセロハンを思い思いに組み合わせて作成しています。ひとつひとつの作品に注目すると、どれも個性的で奥深さを感じます。また設置場所によっては、太陽光の透過や作品による影によって作品の表情が変化します。まるで”14歳の心模様”が、天から舞い降りてきたように感じます。刺々しい角張った作品もあれば、その角を丸め込むやさしいカ−ブに包まれている作品もあり、生徒ひとりひとりのそれぞれの心模様が伝わってくるのです。

    喜怒哀楽をカタチにする2

     この作品のように、日頃の感情を作品化 (心の見える化) することは、自分の心を冷静に、客観的に見る力を育てることにもなり、中学生のこの時期のとりくみとしてとても意義ある表現活動のように思います。

     We have an interesting area in the Souenkan building. If you go up the stairs, you can see many works of art hanging from the ceiling. These were made by the 2nd year students 2 years ago. With the colors and designs, each represents the inner feelings of the student who made it. Through such projects, our students are able to show their individuality and learn to accept others.

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  • レンガ壁の裏の秘密〜外断熱工法〜

    2017/06/01 

    レンガ壁の裏の秘密

     同志社の建造物は「赤レンガ」が特徴的です。
     この時季、今出川校地の同志社礼拝堂、彰栄館、有終館などのレンガと新緑が絶妙の組み合わせだったことを思い出します。
     ここ岩倉校地でも、落ち着いたレンガ色と若葉の新緑がことばで表現できない味わいを醸し出しています。

     ところで、レンガ壁をよくみると、縦6cm、横1cmほどのわずかな隙間が見つかります。この隙間がレンガ裏とつながっています。実はレンガ壁の裏側は空洞になっていて、ここの空気の層が「断熱」の役目を果たしているのです。建物の室内に外気温を伝えにくくする工夫です。この仕組みを「外断熱工法」と言います。つまり、夏はより涼しく、冬はより暖かくする工夫という訳です。節電や地球温暖化防止にも役立っています。

     さて、この隙間にいち早く気付いた動物がいました。ミツバチの仲間です。以前この隙間から頻繁に出入りしていました。また、最近アブラコウモリがこの隙間に入り込んだという目撃情報も飛び込んできました。
     自然界の生物も、雨風がしのげて快適な空間を巧みに利用しているのです。その知恵に脱帽です。

     Many of the buildings on each Doshisha campus are built using a distinctive style with red bricks. Examples of this are the original Doshisha Chapel, Shoeikan and Yuushukan. The buildings on the Iwakura campus are the same. You may notice that, at certain intervals, there are gaps of 6cm×1cm between the bricks. These are air vents that allow the heat to escape in summer and keep the cold in out in winter. These gaps also provide a hiding place for bees and small bats.

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  • 大規模災害に備える〜花折断層を意識して〜

    2017/05/15 

    大規模災害に備える

     4月18日は毎年恒例の「全校避難訓練」を実施しました。地震活動期に入ったと言われる日本列島で、安全な場所はどこにもありません。日頃の防災・減災への心構えが、いざという時の行動に結びつきます。この日、生徒のみなさんは、担任の指示で終礼の場所から避難経路に沿って的確に避難場所の「交流グランド」に集合していました(右上)。
     「天災は忘れた頃にやってくる」とは物理学者の寺田寅彦の言葉です。地震活動期に生きる私たちは、常に備える気持ちを持ち続けていきたいものです。

     ところで、ここ岩倉地域に被害を及ぼすとされる地震は「東南海トラフ」連動型地震と、本校から東に2kmのところを走る「花折断層」による地震などが想定されています(右下)。しかし地表に現れていない活断層が伏在している可能性もあります。
     断層の場所は直線状で道も容易に作りやすいため高速道路や新幹線ル−トに利用されたりしてきました。花折断層の場合は「鯖街道」の街道筋になりました。
     本校は「指定避難場所」にも指定されています。地域防災・減災の拠点としても日頃の地道なとりくみが大切です。

     As shown in the photo on the right, we had an emergency drill on April 18th this year.
     Because Japan is so earthquake prone, it is said that nowhere is safe. It is also said that a disaster could occur when we least expect it. If you look at the map, you can see there are fault lines within 2km of our campus. In fact, it is thought that there may be more fault lines than we know of.
     Our campus will be an evacuation point in an emergency, so we need to be prepared at any time.

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  • 紙幣をつくる植物〜可憐なミツマタの花〜

    2017/05/01 

    紙幣をつくる植物

     中学生のみなさんが毎日の学校生活を送る立志館周辺には、気づかれずにひっそりと咲いている花々が数多くあります。
     写真の花は筒状の花が密集して咲いていて、まるで花火のように可憐です。さらに枝に注目すると1本の枝から三叉(さんさ)するという特徴に気付きます。
     この植物はミツマタ(ジンチョウゲ科ミツマタ属)で、紙幣(日本銀行券)の原料の植物です。
     国立印刷局によると、日本のお札の紙は、ミツマタ、アバカ(マニラ麻)などが原料で、特にミツマタは、古くから和紙の原料として使われ、1879年からお札用紙の原料として利用されてから、現在まで受け継がれているようです。

     紙幣を作るには、まずミツマタの表皮を剥ぎ取り、高温で蒸し、細かく刻んだ後、水に溶かします。繊維が絡みやすいようにさらに細かくしたあと網の上に流し薄い層を作ります。その後乾燥させて出来上がりです。繊維はとても丈夫で、間違って衣類のポケットに入れたまま洗濯しても形がくずれにくいのです。

     さて、このミツマタはどこにあるのでしょうか。花のあるうちに探してみて下さい。

     As the students study and play around the Risshikan building, many of them would have discovered a variety of flowers. One of them, that looks like a fireworks display, is Mitsumata (Oriental Paperbush), which commonly has three branches that grow from one larger branch. Bark of the bush is used by the Bank of Japan in the production of paper bills. Because it was traditionally used to make Washi (Japanese Paper), the bank began using it to make paper bills in 1879, a practice that still continues until today.
     Please try to find these bushes while the flowers are still in bloom.

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  • 「金魚ねぶた」のお出迎え〜立志館玄関にて〜

    2017/04/17 

    「金魚ねぶた」のお出迎え

     立志館の入口では10匹の金魚が、生徒のみなさんや訪問の方をお迎えしています。風の到来があれば、楽しそうに右に左にとゆらゆら揺れています。
     この紙でつくられた金魚は、「金魚ねぶた」と呼ばれ、青森県のねぶた祭りには欠かせないものだそうです。起源は江戸末期で、昔は灯籠として利用されたと言われています。よく見ると背びれはなく、胸びれ様のものがひらひらととても優雅です。

     この「金魚ねぶた」は、2003年9月29日に風間浦村立風間浦中学校のみなさんが、本校を訪問された時に届けられたものです。その時に同時にいただいた資料には次のように記されています。

     「『金魚ねぶたの由来』ねぶた祭りでは主に小さな子どもたちが持ち歩き用のねぶたとして使われていました。金魚ねぶたの形は、江戸時代から津軽地方で飼育されていた『津軽錦』という金魚がモデルになったと言われています。真ん丸い胴体と立派な尾びれがあり、背びれのないのが特徴です。金魚ねぷたは人形ねぶたの元祖と言われています。」

     明治初期には、たらいの中に水を入れて「金魚ねぶた」を棒状のもので持ち上げ、火を灯して玄関先に飾ることもあったようです。同志社創立者の新島襄は、風間浦村に立ち寄った際に「金魚ねぶた」と出会ったのでしょうか。みなさんも是非、風間浦中と本校の心のこもった文化交流に思いを馳せてください。

     As you enter the Risshikan building, you can see paper goldfish hanging from the ceiling and moving with the wind. These paper goldfish are used as a part of the Nebuta Festival in Aomori Prefecture, and were given to the school by the visiting members of Kazamaura Junior High School in 2003. It is said that they originated in the Meiji Period as lamps that were displayed in front of houses or carried around by children during the festival. We wonder if Mr. Nijima ever saw them?

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  • 春の踊る花たち〜ヒメオドリコソウ〜

    2017/04/03 

    春の踊る花たち

     新しい年度2017年度が始まりました。生徒のみなさんも私たち教職員も新たな気持ちがみなぎります。
     実は身の回りの自然界でも、春を待っていたさまざまな動植物が新たな輝きを見せています。春のこの時季に神社や空き地の藪などに咲いている花に、オドリコソウ(踊子草)があります。日本原産種で、花は大きく2cmほどあります。この植物のまるで「踊り子」のような印象をもつ花の形(このような花の形を唇形花といいます)からオドリコソウと名付けられています。幼いころ、この花の基部の蜜を吸った経験のある方もおられるのではないでしょうか。

     写真は岩倉キャンパス想遠館南の片隅に咲いているヒメオドリコソウ(姫踊子草)です。
     この花も形がとっても愛らしく、春のこの時季の気持ちにぴったりで、観ているだけでウキウキしてきます。こちらは、ヨ−ロッパ原産の越年草で、日本には明治時代の中頃、東京で最初に発見されたと言われています。オドリコソウに似た花で小型なので「姫」が付いています。

     先日、3月24日には「新入生登校日」があり、目が輝いていた新1年生との新たな出会いがありました。そして4月6日の「入学式」、10日の「始業式」と年度初めの行事が続きます。
     この2017年度、この学び舎に集うすべての仲間が、健康で充実した1年となりますよう祈念しています。

     With the start of a new school year, the students and teachers feel refreshed. It is also the season for flowers to bloom around us. One such flower that we can find blooming around the Iwakura Campus is the “Odorikosou” or “White Nettle”, which gets its name from its resemblance to a dancing girl.
     As the new school starts, we pray that this year will bring us prosperity and health.

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  • 「明察」を楽しむ空間〜数学MSの算額絵馬〜

    2017/03/15 

    心に響く彰栄の鐘の音

     立志館3階の南西角に、他私学ではめったに見られない面白い空間があります(写真)。ここには約30枚の「算額絵馬」が飾ってあり、生徒たちも楽しんでいます。
     そもそも「算額」は、日本古来の「和算」(ねずみ算や鶴亀算などの算数から代数学・幾何学まで取り上げる日本独自の数学)を額に託すもので、江戸時代から明治時代にかけて流行しました。起源は、江戸初期(1627年)に吉田光由が出版した「塵劫記(じんこうき)」とされています。また、問題を見た瞬間に解ける「一瞥即解(いちべつそっかい)」は、江戸期の和算家関孝和の得意技だったと小説「天地明察」では紹介されています。
     本校の生徒が数学の授業で考えた問題を、2013年3月に滋賀県大津市の三井寺金堂に展示しました。これが文政11年(1828年)に1枚奉納されてから184年ぶりの「奉納」ということで新聞紙上でも大きく取り上げられました。それ以来、本校3年生が卒業直前の3月に算額絵馬を作成し、三井寺に掲示されるようになりました。
     この算額は、現在、海外でも注目されていて、「SANGAKU」は世界共通語になりつつあり、「数学的主張であると同時に芸術作品」という見方もされています。また、2016年8月には本校と三井寺の算額のとりくみが、韓国KBSテレビで知的好奇心を育む日本の学びの文化として報道され、本校生徒の作成した問題が視聴者に紹介されました。
     本校の数学で「和算」を学んだ生徒が、日本の伝統的学びを世界に発信してくれたら、これ以上の喜びはありません。

    On the third floor of the Risshikan building we can find about 30 wooden pictures tablets on the wall, each with a Japanese mathematical problem on them. In the past, these tablets were thought to be connected to Japanese mathematics. Each year, 3rd year students at our school write mathematical problems on the tablets and all of these are displayed at Mii Temple in Shiga Prefecture.

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  • 心に響く彰栄の鐘の音

    2017/03/01 

    心に響く彰栄の鐘の音

     毎日2回、登校時と昼休みに、宿志館からさわやかな鐘の音が流れてきます。学内で選考された司鐘生が心を込めて鳴らす音色です。今出川に学校があった時は、北隣の相国寺の鐘が“gone”と響くのに対して、同志社彰栄館の鐘は“can”と鳴るとよく言われていました。“can”とは、これから可能性をどんどん広げ社会に羽ばたいていく中学生にふさわしい表現です。
     ところで、現在宿志館にある鐘は、彫刻家の山本鐘互さんの手により、今出川の彰栄館の鐘を「原型」として製作されました。彰栄館の鐘を実測し、厚みなどは手の感触も生かし、形状を同一にしました。音色は周波数を調べ、鐘の材質も分析し他の鐘に比べて、鉄の割合が多いことも判明しました。鐘は、老子製作所という京都のお寺にも鐘を納めている工場で製作され宿志館に取り付けられました。
     このようにほぼ完全に彰栄館の鐘と同一ものを製作したものの若干音色が異なります。鐘の音は年月とともに微妙に変化していくとも言われ、ひょっとすると彰栄館の鐘の音も、設置当初の1887年頃は、今の宿志館の鐘の音色だったかもしれません。そのように考えると、ひょっとしたら今わたしたちは明治期に設置された彰栄館の鐘の音を聞いていることになります。
     昔、よく卒業式で歌われた「別れの歌」には「朝夕馴れし鐘の音よ」と歌詞に彰栄の鐘の響きが表現されています。鐘の音は昔から卒業生の心の中にきっと息づいていることでしょう。

    Every day, before school in the morning and at the endof lunchtime, a bell is rung by a specially chosen student.
    When the school was in Imadegawa, the sound of the bell was said to resemble the word “can”, which is very appropriate for Doshisha students who have a lot of potential. The original bell that is in the Shoeikan building in Imadegawa has been replicated and placed outside the Grace Chapel in our current campus. Although the sound is different, we wonder if it is how the first bell originally sounded?

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  • 名前のある階段〜今出川時代の歴史を刻む〜

    2017/02/15 

    名前のある階段〜今出川時代の歴史を刻む〜

     同志社中学校の立志館には、名前のついている階段が3箇所あります。階段に名があるなんて珍しいと思いませんか? いったいその階段名にどのような想いが込められているのでしょうか。
     本校は、2010年度2学期から現在のキャンパスに移転してきました。移転前、今出川の同志社中発祥の地には「彰栄館」(1884年年建立)と「同志社チャペル」(1886年)の国の重要文化財に指定されている建物以外に「立志館」(1910年)、「醇厚館」(1939年)「日新館」(1977年)などの建物がありました。
     「立志館」は生徒のみなさんが日々の授業など学校生活を中心に過ごした建物で、その名は現在の立志館に引き継がれています。「日新館」には図書館や保健室、美術平面・立体教室、数学科・美術科教員室などが、また「彰栄館」には校長室、社会科教員室、会議室などがありました。この建物には戦時中、「奉安庫」(天皇皇后の写真や教育勅語を収めた)が北西側にあったことが、今もレンガの色が家形に異なることからわかります(「奉安庫」は後に「奉安殿」として東側に移動)。
     学校の移転に伴い、当時の有志生徒のみなさんが今出川キャンパスの校舎の思い出をいろいろな形に残しましたが、この階段名も今出川時代の数々の記憶を継承するために名付けられたのです。

    In the Risshikan building of Doshisha J.H.S. there are three stairwells, each of which has a name. Have you ever wondered what these names mean? These are actually the names of buildings that were a part of the school when it was on the Imadegawa Campus. When we moved to New Campus, many students wanted to keep these names as a memory of the previous campus, so they were chosen as the names of the stairwells.

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  • 百花の魁(さきがけ)〜庭上の一寒梅〜

    2017/01/27 

    百花の魁(さきがけ)〜庭上の一寒梅〜1

     春の到来を肌で感じる頃となりました。校内の木々も春を敏感に感じ、新芽を膨らませたり開花の準備をしたりと、厳冬に耐えたエネルギ−が一気にはじけようとしています。
     創立者新島襄は、花々が咲き誇る春の到来の先駆けとしての「梅花」に強い思いを見出し、次の句を残しています。

    百花の魁(さきがけ)〜庭上の一寒梅〜2


     この一句は弟子の深井英五への色紙に記したものです。さまざまな抵抗に遭いながらも、私立学校創設へと邁進する新島の情熱と、風雪に耐え雪を載き咲く寒梅の強さとが重なります。1889年の秋、新島は募金集めのための過労が原因で倒れ大磯の百足屋旅館で静養します。左下の五言絶句は、先の一句と似てはいますが、気持ちの激しさが感じられません。この点について和田洋一氏は「百足屋の庭先に梅の木が1本あり、それを眺めての新島の感想が詩の形をとった…争わず力めず、自らの姿をそこに見て、やすらかな気持ちを味わい、ほほえみともため息ともつかぬものが外に現れて句になった。」と分析しています。

    百花の魁(さきがけ)〜庭上の一寒梅〜3

     まもなく百花の到来。校内の一輪の花からみなさんは何を感じられるのでしょうか。今も本校の卒業式では「庭上の一寒梅」が合唱されます。卒業生ひとりひとりが数々の困難にも屈せず、自らの人生をしっかり歩んで行かれることを祈っています。

    With the coming of spring, many types of flowers will start to bloom within the school. Our founder, Mr. Nijima, wrote a Chinese poem about the plum trees that would bloom at the end of winter on the Doshisha campus. Even today, a song based on this poem is sung at Doshisha graduation ceremonies.

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  • チャペル創設時からの椅子〜畳椅子のあたたかさ〜

    2016/12/19 

    チャペル創設時からの椅子〜畳椅子のあたたかさ〜

     2014年4月から立志館東側に少しカ-ブした長椅子を置いています。昼休みはこの椅子に座ってお弁当を広げる生徒のみなさんが集い、また隣りには生徒会の看板もあり、このスペ−スは、まさに生徒が主人公の空間となっています。
     さて、この椅子は今から140年前、今出川の同志社チャペル創設時(1875年)から礼拝に利用されてきた、実はとても歴史のある椅子です。一体何人の先輩たちがこの椅子に座ったのでしょうか? 同志社普通学校や同志社中学の生徒たちが長年利用して椅子の片方が浮き上がったりしたため、1965年に個人椅子に代わり現在に至っています。ところで、1963年にこのチャペルは同志社最初の国の重要文化財に指定されましたが、その際に「長椅子の保存」が指定の条件となったため、当時の同志社本部は、この椅子を岩倉の材木倉庫に保存しました。その後しばらくして岩倉のグランドでこの椅子の姿が確認されましたが、多くは倉庫とともに姿を消したようです。(今立志館にある椅子は、今出川に残された数脚のうちの一脚です。)
     明治期から多くの卒業生がこの椅子に座り、礼拝に集い、祈りまた友と夢や希望を語りあった椅子で、今日も「ダイヤモンドの原石」である現生徒たちが、楽しそうに語り合っています。

    In April, two years ago, we put a slightly curved bench out In front of the Risshikan building. A lot of students like to sit here and eat lunch. This bench has a lot of history.
    It was one of the original bench-seats in the Doshisha Chapel in 1875, but spent a lot of time just sitting in storage in both Imadegawa and Iwakura. This bench from the Meiji Period has been used by many students as they prayed during services, or just sat and talked with friends about their dreams and ambitions, and it still serves them well.

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  • おはなしして子ちゃん〜芥川賞受賞卒業生とサルの標本〜

    2016/12/01 

    おはなしして子ちゃん〜芥川賞受賞卒業生とサルの標本〜

     2013年夏、1994年度本校卒業生の藤野可織さんが第149回芥川賞を受賞されました。受賞作品は「爪と目」でしたが、受賞後の第一作が「おはなしして子ちゃん」という作品です。帯に「恐るべき才能が炸裂する10篇のおはなし」と記されたこの本の表題作は、その舞台が中学生時に過ごした今出川の理科室のようです。そして藤野さんは当時展示してあった数多くの標本の中でも「サル」から受けたインパクトが強烈だったのか、作品中に次のような描写があります。
     「もっとも印象深かったのは猿です。猿は、私が確認できたかぎりではその棚で唯一の哺乳類であり、瓶は抜きんでて大きく、漬けられている当の猿にとっても少々大きすぎるほどでした。猿は膝をゆるく曲げ、背を瓶の側面につけ、中腰のような、空気椅子に座っているような恰好でじっとしていました。…猿の表情はやすらかでしたが、見ようによっては不安げでもあり、なにかをためらっているようでもありました。」
     この標本が想遠館の理科MSに現在展示中のサルです(写真)。また、文中には標本棚の印象として、「標本は、長いこと手入れをされていないようすでした。」「ラベルに記された文字はおおかた消え去り…」、あげくに「展示する意図の一切感じ取れない棚でした」とも。教員のひとりとしてこの言葉を励みにしながら、貴重な標本の整理にむけて努力したいと思っています。

    In 2013, Kaori Fujino, a graduate of Doshisha JHS, won the Akutagawa Prize for Literature with a book titled “Tsume to Me”. In her next work, she wrote a story based on her school life at Doshisha JHS, titled “Ohanashishite Ko-chan”. In this story she talks of the impact that a monkey that was on display in the Science Department in the school at the time, had on her.
    This monkey can now be found displayed with the book in the Science Media Space.

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  • ア−チ形が若き命を迎え、育てる〜昔と今の同志社中〜

    2016/11/15 

    ア−チ形が若き命を迎え、育てる〜昔と今の同志社中〜

     みなさんが生活している学内にア−チ形はたくさんあります。そのほとんどが窓や出入り口にある「タテ型」のア−チ形でしょう。今回ご紹介するのは「ヨコ型」のア−チです。
     上の写真は、1934年(昭和9年)の今出川校地西門です。左側の建物は、国の重要文化財で「彰栄の鐘」がある彰栄館、中学が活躍していた頃は、「校長室」「社会科教員室」「父母の会室」「会議室」などがありました。注目してほしいのは、手前の校門です。ここに見事なア−チ形が配置されています。登校してきた当時の中学生も、学校に優しく招き入れられるような感覚になったのではないでしょうか。
     次に下の写真です。この造形物はどこにあるかわかりますか?同志社小学校との間、モ−ルから北方向を眺めると、ちょうど「ここまでが中学校」というアイ・ストップになる場所に配置されています。ここは校門ではなく、「曲線を楽しむ空間」です。こんな場所を「アルコ−ブ」といいます。よく、洋式建築物で、部屋・廊下などの壁面の一部をくぼませて造った小部屋のことを言います。屋内では、寝室・書斎・書庫に使われたり、屋外では、坪庭やサービスガーデンになったりします。
     さて、みなさんはこの空間を何に利用しますか?
     自分で考えた、自分だけの利用方法で、ユニ−クな空間利用に挑戦してみてください。

    There are a number of vertical arches around the school, but there are also some horizontal arches too. The first photo above shows the Western Gate of the Imadegawa Campus in 1934. This arch served as the main entrance to the junior high school, welcoming the students each morning.
    In the second photo, we can see the arch that is at the end of the mall at the new Iwakura Campus. This is not an entrance, but is known as an “alcove”, which doubles as an open space where students can play.

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  • モズのはやにえ〜岩倉の自然からのメッセ−ジ〜

    2016/11/01 

    モズのはやにえ〜岩倉の自然からのメッセ−ジ〜

     本校が今出川から現在の岩倉校地に移転して「多様な生き物が学内で活動している!」と実感することが多いです。西側の岩倉川周辺からは、サワガニ、ハグロトンボ、シマヘビなどが来校し、アブラコオモリが立志館を飛び回り、先日はアシダカグモが宿志館の音楽教室に出没しました。
     写真は初冬の想遠館北広場の枝に置かれたカエルです。「モズのはやにえ」として有名なのですが、子どもたちの珍解答には驚かされます。「モズのはやにえを説明せよ」との問いに、モズが鍋でグツグツ煮られている図の横に「他の鳥に比べて早く煮える」との説明がありました。お鍋料理の美味しいシ−ズンなので、図には野菜やキノコも入って雰囲気が出ていました。モズという鳥が行うこの行動は、実はまだはっきりとした理由がわかっていません。冬季の食糧保存、食べている途中で外敵が来たのでそのまま逃げた、もともと食糧になるような動物をとらえる本能がある、など多様な説があります。昔は「はやにえ」の地上からの高さでその年の積雪がわかるとの話もありました。つまり雪に埋もれない高さの枝に刺すというものです。みなさんも登・下校途中に岩倉の自然からのメッセ−ジを自分の感性というアンテナで感じとってみてください。

    After we moved from Imadegawa to Iwakura, we could really get the feeling that we are surrounded by nature. There are crabs, dragonflies and snakes in the river next to the school.
    In the photo, we can see a frog that has been placed in a tree. The frog was placed there by a Bull-headed Strike bird, which leaves its prey impaled on branched to prepare as food for the winter.
    The students can learn a lot from the nature around them in Iwakura.

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  • 木曜の昼休み 立志館1階〜ブレ−メンのパン屋さん〜

    2016/10/17 

    木曜の昼休み 立志館1階〜レ−メンのパン屋さん〜

     本校が新キャンパスに移転してから始まった「ブレ−メンのパン」販売、写真のように週に1回の昼休みのこの場所はいつもと違った空間になります。多くの生徒のみなさんがパンを囲むように集まり、熱気あふれる場になるのです。もちろん、おいしいパンに人気がありますが、優しい店員の方とのふれあいやカフェテリアの混雑さを避けて、また日常の生活場所である立志館で販売されるという点も魅力です。
     今年度は毎週水曜日に来校いただいていますが、他にもオ−プンデ−での出店や生徒会企画の「同志社パン」の製作、また、最近、保護者クラス懇談会でのお手軽な「昼食セット」もご協力いただき、保護者の方も担任もとても助かっています。
     先日、お店に伺う機会がありました。今回のこの記事のことをお伝えすると、「いつもブレ−メンのパンを買っていただき、本当にありがとうございます。」とのメッセ−ジを素敵な笑顔とともにいただきました。みなさんもぜひ、叡電岩倉駅前にあるお店に寄ってみてください。地域の「ほっとステ−ション」のような可愛いお店です。

    Soon after we moved to new campus, we invited a local bread shop, “Bremen Bread Shop”, to come and sell their homemade bread at lunchtime once a week. The bread is very popular and the staff from Bremen are very friendly, so each week there is a long queue of students and teachers.
    The Bremen Bread Shop is just front of Iwakura Station on the Eiden Line. Please visit and try their delicious breads.

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  • 愛をもってこれを貫く〜宿志館入口の創立者の想い〜

    2016/10/03 

    愛をもってこれを貫く〜宿志館入口の創立者の想い〜

     1886年5月30日、創立者新島襄は仙台に同志社分校を設置(翌年、宮城英学校として仮開校)するために仙台教会で説教しました。「キリスト教とは何か、と人から尋ねられたら愛をもってこれを貫く、と答えたい。」との言葉で始まった説教は、親子の愛、夫婦愛など身近な愛にも触れられながら、次のことばで締めくくられています。「キリストはこの愛をもってこの世に来られ、神の道を説かれ、私たちを救うために荊棘(いばら)の冠を被せられ、十字架に磔られた。また、この愛をもって私たちを近くに引き寄せ、今も私たちの心に働きかけられている。愛は忍び、許すものである。一見、弱々しく無力に見えるが、天下の誰が愛に敵対できようか。犬や猫でさえも人間の愛に動かされるではないか。」
     日々、みなさんが礼拝や学年AH、また2学期から始まった企画、静かなひとときを求めての「Quiet Time」(水曜昼休み実施) などで宿志館の入口を通過するとき、いつもこの創立者のメッセ−ジが頭上にあることを意識してみてください。不思議と気持ちが安らぐことでしょう。

    On May 30th, 1886, when the founder of Doshisha, Joe Nijima, founded a Doshisha hub-school in Sendai, he said these words, “When asked about what Christianity is, I want to answer that it is carry on loving.”
    Every day, when the students use the chapel, they enter under this message from the founder.
    If they can understand this, it would help them feel peace.

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  • 謎のすきま!?〜エクスパンション・ジョイント〜

    謎のすきま!?〜エクスパンション・ジョイント〜

    2016/09/15 
     右の写真は校内のある場所を撮ったものですが、どこか変だと思いませんか? 何と!左の直立する柱と右から伸びている構造物が“離れて”いるのです。
     実は、“離れていて正常”なのです。この仕組みをエクスパンション・ジョイント、その間のすきまはクリアランスと呼ばれています。地震で揺れた時、右と左の構造物の揺れ方が異なると、境界には亀裂が走ります。また鉄やコンクリ−トは、温度差によって膨らんだり縮んだりして割れたりします。そのような場所は初めから離れていると、そのような割れを防ぐことができます。よくこのような場所は、アルミやステンレスの金属板で覆っているのでわかりにくいですが、ここは覆いがないので、向こう側の青空が見事に見えて、とてもいい感じです。
     みなさんが3年生の理科で習う地層の学習には、岩石にできる割れ目で「節理」というものがあります。この「節理」は英語で「ジョイント」といいます。エクスパンションは「拡大する」という意味ですから、エクスパンション・ジョイントは「拡大する割れ目」というような意味でしょう。
     生徒のみなさんは、この写真の場所がどこなのか、また、他にどのようなところでこの仕組みが利用されているのか探してみてください。日頃お世話になっている校舎も実は大切な教材なのです。

    Don’t you think that the photo on the right looks strange? The two parts of the buildings are separated. Actually, this is the way it should be. It’s called an “expansion point”, and the gap is called a “clearance”.
    In the case of an earthquake, the two buildings can move without damaging each other. Also, it allows for movement when the temperature changes.
    Please try to find this place and think about its importance in our daily school life.

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  • 赦(ゆる)しの花〜立志館のアサガオ〜

    赦(ゆる)しの花〜立志館のアサガオ〜

    2016/09/06 
     立志館の南壁に、紫色に微妙に赤や青が入り混じったアサガオが咲いています(写真は9月中旬の写真です)。 実はこのアサガオは、平和の祈りが込められている花なのです。「太平洋戦争」の敗戦後に捕虜としてシベリア(今のロシア東北部)に抑留されていた約1000人の日本軍兵士が、戦犯として「撫順戦犯管理所」に6年間収容されていました。シベリアでの生活は過酷を極めましたが、中国では軍事裁判の結果ほとんどの戦犯たちが「起訴免除」で釈放となりました。この寛大な措置の背景には、中国の人々の「罪を裁いても平和は訪れない。自ら自分の犯した罪を反省し二度と戦争のない世を創る努力を」との思いがありました。釈放され帰国の途に着こうとしていたとき、中国人の職員たちから小さな紙包みが渡されました。その中にはアサガオの種子が入っていたのです。
     昨年本校では、多くの花が咲き実を結びました。その何粒かが立志館の壁際に落ち発芽し、今年も見事な花を咲かせました。アサガオの種子という宝物を手渡した中国の方は、次のようなメッセ−ジを伝えられたそうです。「もう武器を持って2度と大陸に来ないでください。日本に帰ったら、きれいな花を咲かせて幸せな家庭を築いてください。」
     東アジアの一員として生きる私たちひとりひとりが心に刻み、忘れてはならないことばです。

    We can see the “Morning Glory” blossoms near the southern wall of the Risshikan building. They bloom in shades of blue, purple and red. They are actually a symbol of peace that were brought back to Japan from China after World War Two.
    Each year, they bloom near the wall of the Risshikan building and remind us of the treasure that was given to us as a reminder of peace.

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  • 音をみて感じる空間〜音楽MS〜

    音をみて感じる空間〜音楽MS〜

    2016/08/12 
     今回は本校の特徴でもある「教科教室制」を特徴づける空間としてのMS(メディアスペ−ス)を紹介します。本校には各教科教室のとなりにMSがあります。このスペ−スは、より教科の内容を深めるための空間です。実際に授業を行うこともあれば、生徒のみなさんの作品が展示されていたり、教員の教科へのいざないが工夫された場所でもあるのです。
     そんなMSの中でも、とてもユニ−クな空間が写真の音楽MSです。グランドピアノ、リコ−ダ−やアコ−ディオン、ギタ−など以外に、中学が今出川時代に使用したオルガンなどの楽器の展示、いろいろな作曲家の紹介、また空調の風で音色を奏でるチャイムや、生徒の自由研究の展示コ−ナ−、海外のものも含めてさまざまな掲示物など、音楽教員の工夫と心配りが感じられる空間デザインになっています。現在は、2学期の授業内容に応じてリニュ−アルされています。「音」に興味のある人、また「音楽」を授業以外の角度で深めたい人にはぜひおすすめの場所です。友だちと訪ねてもいいし、ひとりで自分の感性を全開にしてたたずむのもいいかも知れません。自分が自分の考えで利用する空間、それが本校のMSの特徴なのです。

    Each department in the school has its own MS (Media Space). These can be found next to the classrooms. Sometimes the MS is used for class activities, and you can find many things on display, such as students’ projects etc. The photo is of the Music Department’s MS. These are many instruments, as well as displays about famous composers and musicians.
    The Media Spaces are places where students can be free to use their imaginations.

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  • 立志館の不思議なサイン

    立志館の不思議なサイン

    2016/08/1 
     京阪神で唯一「教科教室制」を実施している本校ですが、すでに学内風景の一部になっているものにも本校の特徴がちりばめられています。たとえば、みなさんはすでに慣れている文様(写真)があります。
     この文様(サイン)は、ある時は教科教室の壁面にあったり、廊下天井からの「垂れ幕」だったりと、校舎を行きかう人々に「おやっ?」という“不思議感”を醸し出しています。写真はカタカナの「セ」ですから「聖書教室」を示しています。「エ」は英語、「コ」は国語・・・。みなさんも一度、すべての文様を調べてみると面白いと思います。そして、自分だったら、さらにこんな工夫をする・・・というアイデアがありましたら、総務部田邉までご一報ください。このサインに限らず、みなさんのユニ−クなアイデアをお待ちしています。

    You can see these class signs on the doors of the classrooms and flags in the hallways. Maybe you are confused by the symbols on them. Actually, they are based on the katakana that comes at the start of each subject’s title. For example, 「セ(se)」is for “seisho”, or “Bible Studies”. Please check out all of the signs and see if you can read them.

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  • グレ−スチャペルの芸術作品「天地創造」

    グレ−スチャペルの芸術作品「天地創造」

    2016/07/15 
     みなさんが礼拝で利用するチャペル正面入り口には左右に黒い金属板があります。これは「天地創造」というテ−マの芸術作品です。よく見ると部分によって色合いが異なり、また見る位置をずらし光線の角度が変わることで、色調が微妙に変化します。
     この作品を制作された鈴木真さんから、先日次のようなメッセ−ジが寄せられました。

    「この作品は「天地創造」の混沌の中に何が見えるのだろうか?ということなのです。私が作るものはタイトルがすべて「景色」です。 作り手が考える特定のどこかの景色というわけではなく、見る人の感じるどこかの「景色」であってほしいと考えています。作った私の意図は重要ではありません。10年後20年後50年後に学校に戻ってきたとき、建物と同じように、あの絵も同じ状態で存在して扉の両側から「おかえりなさい」と迎えてくれる存在であったらうれしいです。 以前とは異なる景色が見えるかもしれません。 私が使う素材はいつもステンレスです。さびない鉄というこの素材は作られはじめて百年ほど経ちますが丈夫で美しい金属です。ガラスなどで保護しなくてもそのままで作った時と同じ状態を保つでしょう。いままであまり平面作品の表現の手段には使われませんでしたが紙やキャンバスと同じように扱われても良いすばらしい素材だと思います。」

     鈴木真さんは、東京都中央区銀座一丁目のテアトル銀座の入り口扉や、墨田区にある江戸東京博物館のホ−ル扉(全ての扉が連作としてひとつの作品になっている)なども製作されています。みなさんも礼拝に行く途中のひとときに、また、静かな心を持ちたいときなどに、是非この「天地創造」の世界に入り込み、何が見えるのか作品と自分の心と対話してみてください。

    In the entrance of the Grace Chapel there are two large black metal boards, one on the left, and one on the right. These are an artwork based on the Creation. The artist who made these, Makoto Suzuki, says that “they will slightly change color over the years, and he wanted them to always be there to welcome students back in 10, 20 or 50 years from now.”

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  • 東南アジアからの訪問客

    東南アジアからの訪問客

    2016/07/01 
     「教科教室制」を実施している本校には、さまざまな来客があります。今回ご紹介するのは、はるばる東南アジアからの訪問客のツバメです。毎年春には日本に飛来し、家の軒下などに土とワラでできた巣を作ります。附近の田んぼなどから採取してきた粘り気のある土に繊維状のワラなどを組み込み強度を高め10数段に積み重ねます。土やワラは通気性や断熱効果もあるのでしょう。産卵数は5個程度なので孵化した5羽のヒナ鳥に合わせた巣の大きさです。巣が狭くなるといよいよ巣立ちの時期の到来です。
     近年、ツバメの飛来数が少なくなってきたようです。日本野鳥の会からは、巣を落とさないようにとのメッセ−ジが発信されています。
     はるばる東南アジアからやってきて、日本で家屋を建造し子育てをする愛らしい燕尾服の鳥を私たちも大切に守りたいものです。
    (写真は想遠館入り口のツバメです。 5月17日撮影)

    We have a lot of visitors to our school. I’d like to introduce one visitor, the swallows that come to us from South-East Asia. Each spring, they come and make their nests under the eaves of the buildings using straw and dirt from the nearby fields. They can have up to 5 chicks. Recently, the number of visitors have become less and less. We’ve been told that we should leave the nests there for the swallows to use in the next year.
    (The photo was taken at the entrance of Soenkan in May.)

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  • 立志館のア−チ窓

    立志館のア−チ窓

    2016/06/15 
     学内にはいろいろな校舎にア−チの形が見られます。みなさんはいくつ発見できますか? 写真は立志館3階の南面を南側から見上げた写真です。設計者によると、このアーチ窓により中学校舎が北端にあることを示し、みなさんを招き入れる表情をつくりだしているそうです。
     さて、アーチを使った最古の門は、イスラエルのアシュケロン(青銅器時代中ごろのもの)のものといわれていて、ア−チの形は、随分古くから人々が慣れ親しんできました。京都では南禅寺の水道橋のア−チが有名ですね。この形は、荷重を分散させる構造上大切な形でもあるのですが、形そのものがどこか優しく感じられ、太陽の日の出、日の入、満月の月の出や月の入も連想させてくれます。そう言えば、自然のア−チの「虹」も今出川キャンパスの時よりも、ここ岩倉キャンパスの方がよく観察できるようにも思います。みなさんも登下校の際には、いろいろなア−チの形に注目してみて下さい。

    You can see arch shapes in many of the school buildings. How many can you find? The arches are said to be a welcoming feature of the buildings. Arches have been used in many historical buildings around the world, including the canal at Nanzenji in Kyoto. We can also see such arches in the many rainbows that appear in Iwakura.

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  • 学内から見る比叡山

    学内から見る比叡山

    2016/06/01 
     学内から見る比叡山は、借景として見る円通寺からとほぼ同じ角度で、心休まる美しい形状をしています。日々、そんな比叡山を見ながら学校生活を送る子どもたちは、きっと知らず知らずのうちに自然景観に関する感性が鍛えられることでしょう。
     さて、この比叡山はなぜ「山」なのでしょうか? 今から7800万年前の中生代白亜紀の末、地下深くからマグマが上昇してきました。そのため、周囲の1億5千万年前頃の泥や砂の岩石が「やけど」し、固く緻密なホルンフェルスという岩石に変わりました(ちょうど比叡山と大文字山の間がマグマが固まった花こう岩です)。このホルンフェルスという岩石は、周囲の岩石よりも雨・風などの風化作用にも強く、削られにくいという特徴があります。つまり、比叡山と大文字山は、周囲の岩石との風化による影響の違いにより、結果的に「山」になった訳です。ですから比叡山が噴火することはありません。 (右の写真の黒い岩石が比叡山を作るホルンフェルスです)

    We are very lucky that can see Mt. Hiei from the school.
    Do you know why this mountain was formed? About 78 million years ago, magma rose from the ground beneath Kyoto and formed the mountain. Wind and rain swept away the sides of it to make it the shape it is. (The black stone in the photo is from Mt. Hiei)

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  • 三寸勾配

    三寸勾配

    2016/05/16 
     岩倉校地にある校舎群で象徴的な建造物といえばやはりチャペルのある宿志館でしょうか。いろいろ特徴のある建物ですが今回は「屋根の傾斜」に注目してみましょう。
     写真のように屋根の傾斜は緩やかで、この勾配を「三寸勾配」といいます。横に十寸、縦に三寸の割合なのでこう呼ばれます(寸は昔の単位で約3cm)。
     設計者は、さまざまな屋根勾配の中から、京都の街並みに合うこの勾配を選んだそうです。
     さて、この場から少し北に進めて比叡山を見てみましょう。何と比叡山の形もほぼ「三寸勾配」なのです。まるで校舎と比叡山がコラボレーションしているようです。校内を歩いているときに是非注目してみてください。

    The triangular shape, used for the roofs of many buildings on our campus is called “Sansunkoubai”. The proportions for this are based on a horizontal measurement of 10sun and vertical measurement of 3sun, (1 “sun” equals about 3cm). This shape is often used for buildings in Kyoto. If you compare this to the shape of Mt. Hiei, which can be seen from our campus, you will see that the shape is very similar. It is as if the school buildings are collaborating with Mt. Hiei.

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